冬に思い出す詩

Emily Dickinsonの詩。

THERE’s a certain slant of light,
On winter afternoons,
That oppresses, like the weight
Of cathedral tunes. 4

Heavenly hurt it gives us;
We can find no scar,
But internal difference
Where the meanings are. 8


None may teach it anything,
’T is the seal, despair,?
An imperial affliction
Sent us of the air. 12


When it comes, the landscape listens,
Shadows hold their breath;
When it goes, ’t is like the distance
On the look of death. 16

Emily Dickinsonを知ったきっかけはマルグリット・デュラスの『エミリー・L』だ。デュラスは、上掲の詩一片を題材に『エミリー・L』を書き上げたという。
Dickinsonの詩は観念的ではあるが自然に向けた独特の視線が印象的。冒頭から「冬の斜光」が「聖堂の調べ」と重ねられ、精神に圧迫を及ぼすものとして捉えられている。この連想はそのまま「絶望」へ、「死」へとつながる。ここでは「light」も「air」も「landscape」も開放的なものでは決してない、そして「death」は、よそよそしくもユーモアや親しみを備えた存在かと思える。
すばらしいリズムとともに「死」へと降りていくこの詩。デュラスがインパクトを受けるのもわかる。それくらい濃厚なPoesie(とは?)がここにはある。
参考までに、全然文脈は異なるが、天沢退二郎の昔の言葉。どう考えるかはまだわからないが。

内面立体の美事さが自ら外面立体に現れ出ねばならない。この現実が遅いからと焦って、内部構築を忘れて外部に手をつけてはならなかったのである。
「一つの失敗に就ての覚書」『現代詩文庫11天沢退二郎詩集』より

これは、マルクス主義的な内面の自己批判ではない、はずだ、と思う。