自分のためのお勉強メモ

  • 論理の出発点はどこか 解釈の政治

齋藤純一「社会的連帯の理由をめぐって」(『福祉国家/社会的連帯の理由』ミネルヴァ書房)より

生の保障についての定義は、それを(再)定義する政治的過程から誰もが実質的に排除されていないという条件のもとで行われるべきであり、それは、達成されるべき生の保障とは何かを解釈し、それについての自らの意見を表明しうる政治的な力量を人びとがもちえていることを求めている。

  • どのようなルールか ルールのグランドデザイン/グランドデザインとしてのルール?

後藤玲子「正義とケア」(『福祉の公共哲学』東京大学出版)より

それ(正義とケアの観点の切り結び)は(中略)個々の社会的ポジションやカテゴリーの請求の「要約(summury)」として経験的に生成されるルールではなく、それらを公正にかつ効果的にバランス付けるようなルールを可能とするだろう。そのようなルールとは、ロールズがいうように、「特殊なケースをルールの例外とするのではなく、ルールの一つの特定化の仕方として(内的に)位置づける」ような具象かつ一般的なルールに他ならない。

ルールは、たしかに「同情」「共感」「常識」「良心」などの関数ではあるが、それらに先行*1して存在せねばならない。ルールは、<いまここにいる私>を(できる限り)毀損してはならないが、<いまここにいる私>から出発してもいけない。
複数の規範に多元的に所属する「私」という存在を丸ごと包み込む、最終審級としての規範(の存在)を想定するのは難しい。それでも「私」は、個々の規範からフィードバック(「(再)定義」)を受けながら、不安定に揺れ動きつつも存在する。
社会も、複数の主体(組織であれ個人であれ)によって絶えざる「(再)定義」の連鎖によって成り立っており、「(再)定義する政治的過程」の外は存在しない*2。このことを踏まえた上で、ルールの動的な形成過程を構想できるといいんじゃないか。

*1:独立?適切な用語はなんだろう。

*2:その権利を実質的に奪われている人はいるかもしれない。