講談社文庫のままだったら安かったのに・・・

古本屋に注文していた花田清輝『鳥獣戯話』が届く。500円+送料130円。1977年刊行の講談社文庫版。講談社文庫にあった純文学系統を文芸文庫で復刊してるんだろうけど、値段がねぇ。
とりあえず石川淳『紫苑物語』の「修羅」を読み次第こちらに移りたい。そしてそのまま『俳優修行』『小説平家』『室町小説集』と読みすすめたいな。
杉浦明平の解説によると*1『鳥獣戯話』は花田の最初の小説集らしい。戦後の1962年刊行。戦前発表の「七」「悲劇について」という短編小説もあり、これは講談社文芸文庫で読めるが、本格的に小説を扱うようになったのは戦後ということか。
『鳥獣戯話』は、武田信玄の父―でありながら信玄に国を逐われた―信虎を主人公にした三つの連作から成る。おもしろい所に注目するなぁと、読む前から感心しきり。
石川淳は戦中に「江戸に留学した」という発言をしている。花田には「前近代を否定的媒介にして近代を超克する」という言葉がある。安易に同一化させることは避けたいが、明らかに政治的に異なるであろう両者を、平行的に読み続けること、これが当面の目標。解説によると「鳥獣戯話」は四千部しか売れなかったらしい。石川は自身の読者を「三千人」と言っていた。こんな所に共通点(?)が*2

*1:文芸文庫版の解説は誰なんだろ

*2:いや、千部の差はデカイか。