ジュリアン・グラック『アンドレ・ブルトン 作家の諸相』永井敦子訳

ISBN:4409140469
読み始めるも、複雑な文章なのでなかなか進まない。とりあえず「Ⅰ運動の塊」だけ読了。
グラックの文章は、ブルトンおよびシュルレアリスムを「外部」から解剖することはせず、ブルトンへの共感を批評の出発点とする。シュルレアリスムが備えた磁場、排他的な仲間づきあい、閉ざされた−「城」のイメージ−共同生活体、このような場で行われる「秘儀伝授的な接触」が重視される。そのとき誰よりも周囲に霊感を吹き込んだのは「呪術師ブルトン*1だった。また、ブルトンは霊感を吹き込むだけでなく、「霊の最良の部分に文字通り貫かれる*2」存在でもあった。「ブルトンはただ突然攻囲されその「支配下に落ちる」」のだ。以上のようにブルトンは「現象」として現れる。

その時々で、またときには続けざまに興奮させたり意気阻喪させたりする影響力、反復的に出る熱病の後遺症、命取りにもなりかねない風土性の病気、そして多くの場合長期にわたって人体のバランスを失わせてしまう力、それらから考えると、シュルレアリスムはひとつの強烈ではっきりした風土に比較できると言えば、かなり真理を突くことになるのではないかと思う。

以上は内容のごく一部にすぎない。少しずつ理解していかなきゃなぁ。

読みながら聴いてたベルリオーズ幻想交響曲』のCD

  • alexander shpetti指揮Georgian SIMI Orchestra
  • Alberto Lizzio指揮 Suddeutsche Philharmonie

どっちも全然知らない。ブックオフで100円で購入。どちらもなかなか良かったりする。意外。

*1:ブルトンはエリュアールやバタイユらに「法王」「聖ブルトン」などと批判されている。

*2:イジドール・デュカス『ポエジー』を発見したのは有名。