神野志隆光『「日本」とは何か 国号の意味と歴史』読了

神野志隆光の『「日本」とは何か (講談社現代新書)』を読了。
「日本」という国号がいつ、どのような状況で、どのような価値を担い成立したか、どのように変奏されてきたか。
古事記』『日本書紀』読解が中心となるので、同著者の『古事記と日本書紀 (講談社現代新書)』を先に読んだほうがわかりやすい。実際『「日本」とは何か』は『古事記日本書紀』の続編にあたるらしい。
相変わらずとても勉強になるが、第八章「近代における「日本」」が気になるところ。
「近代天皇制国家における、天皇のもとに成り立つ国民的一体性と「国体」の正統性構築のなかに、国号論は参与していないと言うべき」と著者は言う*1
感情的な反論を呼びそうな結末ですが、元来「日本」という国号が中国や朝鮮半島との関連のなかで誕生した名前であることを考えると、興味深い考察なんです。
実在的な制度を超越して、古代から呼び習わされ続けてきた「日本」という名の不気味さ。このことにもう少し敏感であるべきなのかもしれません。いや、鈍感であるべきなんでしょうか。わかりません。

*1:国語や国文学史が役割を担ったのに対し。