考えがまとまらず拡散していく・・・

グラックのブルトン論が難しいので参考にと塚原史の本を読了。いつもながらのわかりやすさで勉強−特にDADAについて−になる。けど「こんなに単純化していいの?」とは思う、それが弱点。だからボードリヤールで止まっちゃってる、それは困る。ということでやはりグラックの本に取り掛からねば。
ブルトンはA・フランスが死んだときに「死骸」というパンフレットで罵倒しているらしい。ここで思い出すのは、石川淳がA・フランスを訳していることだ。
ただ、立石伯『石川淳論』によると、石川淳はA・フランスが鼻につくようになりジッドに乗り換えたという。僕はフランス文学史に無知なのでA・フランスのことはまったく知らないのだが、このフランス→ジッド(『背徳者』のジッド)という転換がもつ意味に興味がでてきた。それにしてもブルトンらに罵倒され、ヴァレリーには嫌味を言われ*1、石川にも見放されるA・フランス・・・読んでみよう。
立石曰く、石川作品は「虚無が虚無として成立しうるような真実」を描くという。「信仰か虚無か」という「クロオデルの立場」に立ち止まらず動きつづける精神、これが止まることのない彼のペンの動きを導いている。そしてその文章は「空無にみえる世界を形づくっている言葉が憑依して言霊に類する力を獲得している世界を開示する」。
彷徨、孤独といった実存主義的な語彙で語られる石川論だが、埴谷雄高などに近づけるのではなく−立石伯は『埴谷雄高論』の著者でもある−高橋睦郎の古典論と関連づけて読んでみたいと、ふと思う。自己というか個に回収されないように・・・
とりあえず『紫苑物語』を読み直そうと図書館から借りてくる←イイカゲン買っとけ。

立石伯『石川淳論』

十二夜 闇と罪の王朝文学史

十二夜 闇と罪の王朝文学史

読みなおし日本文学史―歌の漂泊 (岩波新書)

読みなおし日本文学史―歌の漂泊 (岩波新書)

*1:山田広昭『三点確保』所収「岬、資本、囚われのもの Cap,Capital,Captif 危機の言説について」より