遮られない休息

武満徹の「遮られない休息Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」という小品を聴いている。
瀧口修造の「遮られない休息」という詩にインスピレーションを受けたという作品。

跡絶えない翅
幼い蛾は夜の巨大な瓶の重さに堪えている
かりそめの白い胸像は雪の記憶に凍えている
風たちは痩せた小枝にとまって貧しい光に慣
 れている
すべて
ことりともしない丘の上の球形の鏡

武満「遮られない休息」は、瀧口詩における、緊密で、冷たく、「ことりともしない」固形的な空間性を見事に創りだし得ている。
武満徹:フォー・アウェイ